2008-05-02
前回のコラムで導管性要件の変更について触れましたが、平成20年度税制改正が4月30日に成立した事で、現実のものとなりました。
この導管性要件の緩和の適用が何時なのかは明確ではありませんが、平成20年4月1日に遡る可能性があります。
仮に4月1日からの適用となれば、FCレジデンシャル投資法人の平成20年4月期配当金は微妙なものとなります。
3月27付で投資法人側が発表した予想配当金は15,267円/口ですが、仮に導管性が復活すれば、約26,000円/口まで上昇します。
FCレジデンシャル投資法人の平成20年4月期は、保有していたビジネスホテル「アバンシェル赤坂」を売却し売却益を計上していますから、その売却益がそのまま配当金に回り、且つ、法人税が減免になる事で大幅に配当金が上昇します。
然しながら、2月15日付の大量保有報告書では、プロスペクト・アセットマネジメントが45.59%まで買い進んでいますので、その後増加していて50%超となっていれば、導管性要件緩和の恩恵は受けられません。
換言すれば、筆頭株主であるプロスペクト・アセットマネジメントのさじ加減一つによって次期予想配当金が大きく変化すると言えます。
一方、プロスペクト側に立つと、今回は50%超を見送り、約26,000円/口の配当金を受け取るとすると、推測では年13%程度の配当率になりますので、かなりのリターンが得られます。
従って、一旦リターンを確保して、次期(平成20年10月期)に導管性否定の動きをする可能性もあります。
仮にこのような戦術を取れば、FCレジデンシャル投資法人とプロスペクトの攻防は未だ続きますし、FCレジデンシャル投資法人が配当金減額を回避するために、次期も不動産売却益を出すようになれば、依然としてプロスペクト側にオプションが残ります。
このように推測していくと、FCレジデンシャル投資法人とプロスペクトの攻防は、色々な思惑が入り込みますので、簡単には収束しない可能性もあります。
このような事の正否はどうかという点については、一言で言えば、特に問題はありません。
許される範囲で色々な仕掛けを行い、投資ビジネスを展開するのは当然ですので、お互いが知恵比べをするのは市場原理に適っています。また、JREIT投資家はこの件の行く末を見ることで、JREITの仕組みと様々なリスクを学習する良い機会になるのではと思います。
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