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マーケットコラム

2009年のJ-REIT市場を振り返って(その3)/関 大介

2010-04-26

関 大介



<a href="../column2/00104_member.html">(→その2)</a>

4. 今後のJ-REIT市場

 2010年のJ-REIT市場を左右する重要な要素は「合併の効果」「景気動向」の二点と考えられます。
前者は合併の発表は続いているものの、JREITの合併実施は2010年がスタートの年となります。
投資家は合併差益の利用方法や合併後の成長方針など、不明確な面が多いため、その効果を計りかねているのが現状です。
かし、合併差益はJ-REITにおいて現状唯一の内部留保を確保する手段です。
このことを利用することで、運営の自由度が増すことが明確になれば、他銘柄の合併を誘引することになりJREIT市場回復の大きな要因となる可能性があります。

 一方で景気が二番底を迎えるようになると、JREIT市場には深刻な影響を与えることになりそうです。
景気の悪化は賃貸収益に依存するJREITにとって悪材料ですが、収益以上に投資家の信頼を失墜させる可能性があるためです。
JREITは、2009年10月から不動産価格が底値圏にあるとして公募増資を行い物件取得に動いています。
しかし、景気悪化懸念がある中で物件取得を行う動きは、時間軸を少し前にも見られました。それは2007年夏のサブプライムローン問題の発生以降に取得した物件です。
これらの物件の多くは、結果として高値で取得したことになり、多くの銘柄で含み損失を広げ、中には売却により損失処理を行う事例も出ています。
つまり景気が悪化し不動産価格が更に下落することになると、JREITは同じ過ちを二度繰り返したことになり、投資家が離散する結果になりかねないのです。

長期的な面でJREIT市場に必要な要素は、投資家利益になる制度変更を行い続けていく点にあります。
例えば、投資家が資産運用会社に関与できない現在の外部運用型以外の運法方法によるJREITの設立を認めることが挙げられます。
JREITの外部運用型は、リーマンショック後にスポンサー企業の重要性が極めて高いことが明確化したように有効な制度です。
もし自己運用型だけでJREITが構成されていれば、大半の銘柄が金融費用の増加により大幅な減配を余儀なくされていたものと考えられます。
しかし外部運用型は、スポンサーと投資家の利益相反の懸念が消し去れないという最大の欠点を持っています。
投資家の中には、利益相反を理由にJREITへの投資を避けている層がいるという点で、投資家層を拡充するために制度変更をすべきでしょう。
アメリカのREIT市場が制度改正を繰り返す中で投資家層を拡大してきたことをJREITも改めて認識し、実行に移して行くことが可能であるかが長期的な発展のための重要なのです。
このことは、各国でREIT市場の創設が続く中でJ-REIT市場の4割以上を占める外国人投資家の関心を高める上でも重要なことと言えます。


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