2016-01-08
2016年最初の回となりますので、今回は2016年のJ-REIT価格を展望していきます。
1. 2016年の東証REIT指数はどうなる?
結論を先にしますと、東証REIT指数では1,700ポイントから1,900ポイントのレンジで推移すると見ています。
年初の東証REIT指数は1,700ポイント程度ですので、J-REIT価格は上昇余地が大きいと考えています。
上昇要因として、過去に何度か指摘している通り、オフィスビル市況回復の恩恵がオフィス系銘柄の分配金増加に繋がる可能性が高いことに加え、12月18日に日銀が金融緩和の補完措置を公表したことで、長期金利が極めて低い水準に留まることが想定されるためです。
2. 日銀の金融緩和補完措置によるJ-REIT価格への影響とは?
日銀の補完措置は、J-REITに関しては従来の個別銘柄の5%以内から10%以内まで買入れを行うとの変更が直接的な内容となっています。
但し、投資対象は従来通りAA格相当の銘柄であり、年間900億円程度の買入れ額も変更となっていません。
つまりJ-REITに対して直接的な内容に関しては、J-REIT価格の上昇要因とはなりにくいものです。
一方で、J-REIT投資にとってより重要な点は、日銀が購入する長期国債の年限を長期化するということにあったと考えられます。
10年国債の利回りは図表の通り、2015年夏から低下基調が明確になり日銀が金融緩和の補完措置を公表した12月18日からは0.3%を下回って推移しています。また10年国債の月間平均利回りは、12月に1月以来となる0.3%を下回る水準になりました。
2015年1月の東証REIT指数は1,900ポイントを超えて推移していました。
更に日銀の補完措置によって10年国債の利回りが2015年のように0.5%を上回る可能性は低くなったと考えられるため、J-REITの利回りとの乖離幅(スプレッド)から見てJ-REIT価格の上昇余地は大きくなっているのです。
3. 2015年との比較
このように長期金利の動向だけを見れば、東証REIT指数は2015年1月中旬のように2,000ポイントに近付くとも考えられます。
しかし国債の利回りとのスプレッドに注目して投資を行う金融機関は、2015年夏のJ-REIT価格急落を経験しています。
従って金融機関が2015年1月から6月までのように積極的な投資を行わない可能性もあるため、前述の通り東証REIT指数のレンジを1,900ポイント程度までとしています。
4. その他の変動要因
なお、2016年の想定レンジを超える変動要因としては、上値では日銀の第3弾金融緩和措置を実施した場合には2,000ポイントを超える上昇、下値では中国を含む新興国経済の大幅悪化があった場合には1,500ポイント程度までの下落が考えられます。
2015年と同様に2016年のJ-REIT価格は、直接的に関連しませんが、海外市場動向の影響を受けやすい状況が続くものと考えられます。
従って一時的な上昇局面では、利益確定を考慮に入れる投資戦略が重要となりそうです。
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1 | 新宿三井ビルディング | 1,700億円 |
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2 | 飯田橋グラン・ブルーム | 1,389億円 |
3 | 六本木ヒルズ森タワー | 1,154億円 |
4 | 汐留ビルディング | 1,069億円 |
5 | 東京汐留ビルディング | 825億円 |
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