2016-03-18
J-REIT価格は、安定的に推移しています。足元の東証REIT指数は1,850ポイント以上の水準が続いていますが、2月12日の東証REIT指数1,690ポイントからの上昇基調は1,900ポイント手前で一旦足踏みしたかたちです。
しかし東証が公表した2月の部門別差引き売買統計を見ると、東証REIT指数がさらに上昇する可能性を示しているものと考えられます。
従って今回は、2月の部門別売買動向の特徴と今後への影響について記載していきます。
1. 2月の部門売買動向の特徴とは?
2月の差引き売買額で最も目立った点は、外国人投資家が1,167億円の買越しとなったことです。
この金額は、2007年2月の1,399億円に次ぐ2番目の大幅な買越額です。2007年の上半期(1月から6月)は、5月末に東証REIT指数が最高値をつけた時期です。外国人投資家は、2月だけではなく2007年上半期全ての月で500億円を超えた買越しとなりました。この期間の月平均買越しは767億円となっています。
一方、今年2月の外国人投資家買越額を見ると、J-REIT価格の大幅な上昇を想定する投資家の方もいるかも知れません。しかしリーマンショック後の外国人投資家の売買行動を見ると、2007年上半期と今後は異なる可能性が高いことが指摘できます。
具体的には、外国人投資家の指標は「中央銀行には逆らうな」というものになっていますが、買越しが長く続かない点です。
黒田総裁就任後に外国人投資家が500億円を超える大幅な買越しとなった時期は、2013年4月798億円、2014年11月515億円と今年2月となります。日銀が金融緩和を行った時期と符合していますが、大幅な買越しは単月に留まっています。このような点から今年3月も大幅な買越しにはならない可能性の方が大きいと考えられます。
2. 今後のREITの価格はどうなる?
一方で、金融機関が今後のJ-REIT価格の動向を左右する投資家となりそうです。外国人投資家以外の主要投資家は、2月に大幅な売越しとなっています。特に日銀が1月末にマイナス金利導入を決定し、利回り商品であるJ-REITに対し投資需要が高まると考えられていた金融機関の売越し額は200億円を超えています。
この要因として、東証REIT指数が2月中旬に1,800ポイントを回復したことが挙げられます。金融機関は2015年度になった4月から今年1月まで買越し主体になっていましたが、この期間の東証REIT指数の平均値は1,748ポイントです。
金融機関は、2月に東証REIT指数が一時的に不安定になったことや、3月の決算に備え利益確定の動きを鮮明にしたものと考えられます。
但し、前述の通りマイナス金利が金融機関の投資行動に与える影響は継続しています。4月に新年度となる金融機関が、積極的なJ-REIT投資を再開する可能性が高まっているのです。この点が実現すれば、東証REIT指数は2,000ポイントを目指した動きに転じることになるでしょう。
3. 銘柄の選択基準は?
今後さらにJ-REIT価格が上昇に転じると考える場合の銘柄選択としては、直近で東証REIT指数が一時的に2,000ポイントを超えた2015年1月の価格動向が参考になります。この時期は、2014年11月からの日銀による金融緩和第2弾により価格が大幅に上昇し、銘柄間の利回り幅が大幅に縮小しました。言い換えれば2014年10月末時点で利回りの低かった銘柄の価格上昇率は小さく、利回りが高かった銘柄の価格上昇率が大きくなっていました。
従って4月以降の価格上昇を想定するのであれば、利回りの高い銘柄が有望な投資先になると考えられます。
例えば、利回りが市場平均以上であり、オフィス賃貸市況の改善で分配金増加という期待と、スポンサーが大手企業であり投資を行う金融機関から見て安心感を持てるジャパンエクセレント投資法人(証券コード8987)や日本リート投資法人(証券コード3296)などが挙げられます。
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1 | 新宿三井ビルディング | 1,700億円 |
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2 | 飯田橋グラン・ブルーム | 1,389億円 |
3 | 六本木ヒルズ森タワー | 1,154億円 |
4 | 汐留ビルディング | 1,069億円 |
5 | 東京汐留ビルディング | 825億円 |
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