2016-08-29
J-REITの投資口価格は、大幅な変動ではありませんが、下落基調となっています。8月の東証REIT指数は、1日と15日を除き1,850ポイント以下の水準で推移しています。
直近3ヶ月の東証REIT指数は、6月下旬にイギリスのEU離脱を受け急落し1,750ポイントを割り込みました。その後急速に回復し、7月28日には1,879ポイントまで上昇しましたが、29日から下落に転じたかたちになっています。
このような値動きの背景には、日銀が7月末に公表した金融緩和が影響しているものと考えられます。
そこで今回は、7月の金融緩和の内容とJ-REIT価格に与える影響について記載します。
1. 7月の金融緩和とは?
7月の金融緩和は、ETFの買入れ額をほぼ倍増となる年間6兆円とすること及び金融緩和政策に関して9月の金融政策決定会合で総括的な検証を行うことが柱となりました。
これまでの金融緩和では、J-REITとETFの買入れ額は同時に増額となっていましたが、7月はJ-REITの買入れ額増額は見送りとなりました。
2. 金融緩和によるプラスとマイナスの影響
この点は、J-REIT価格にとってマイナスの影響を与えることとなりました。
前述の通り、7月に東証REIT指数が上昇した理由のひとつとして、金融緩和によりJ-REITの買入れ額増額を投資家が期待していたと考えられるためです。
一方で、金融政策の包括的な検証を行うと公表したことに伴い、1月末にマイナス金利政策を導入してから低下を続けていた国債利回りが大幅に上昇した(図表参照)ことは、プラスの影響を与える可能性がありそうです。
日銀が2013年4月に金融緩和を開始してから、国債利回りは低下トレンドを辿ってきました。つまり国債投資を継続していれば、利回りの低下(債券価格は上昇)によって売却益を確保できていました。国債投資はJ-REIT投資と比較して確実に売却益が期待できる投資となっていたのです。
しかし包括的な検証という内容が加わったことで、国債への投資リスクが強く意識される局面になってきました。
従って金融機関は、利回り商品であるJ-REITへの投資を拡大する可能性が高くなったと考えられるのです。
短絡的に見れば、国債利回りの上昇は、利回り商品であるJ-REIT価格にはマイナスの影響を与えるように映ります。
しかしJ-REITの利回りと国債利回りとの乖離(スプレッド)は、日銀がマイナス金利を導入した1月末以降に拡大しています。
つまり国債利回りは上昇したとしても、J-REIT利回りの上昇(価格は下落)に繋がらない可能性が高いと考えられるのです。
3. 8月の投資口価格下落の背景は?
このような点から、8月のJ-REIT価格の下落は、外国人の売越しに拠るものと筆者は考えています。
外国人投資家は、2月から4月にかけてJ-REITに過去最大の買越しを行っていたため、売り圧力が掛かる状態であることに加え、日銀がJ-REIT買入れ額の増額を行わない可能性が高くなったという政策変更に対応していると考えられるためです。
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1 | 新宿三井ビルディング | 1,700億円 |
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2 | 飯田橋グラン・ブルーム | 1,389億円 |
3 | 六本木ヒルズ森タワー | 1,154億円 |
4 | 汐留ビルディング | 1,069億円 |
5 | 東京汐留ビルディング | 825億円 |
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