2019-04-26
1. 売却事例が続くJ-REIT市場
不動産価格の高騰は、物件取得という面ではJ-REITにとってマイナスに働く。取得物件が既存ポートフォリオの利回りを下回ることになるため、分配金を減少させる要因になるからだ。
一方で、売却時には高値での売却が可能となるためプラスに作用する。
4月もJ-REITでは、物件売却の事例が積み上がっている。具体的には以下のように5銘柄が物件売却を公表した。
【グローバル・ワン不動産投資法人】
4月1日に、スポンサーである明治安田生命が主要株主となっている芙蓉総合リースとの物件交換を公表。中央区銀座に所在する「銀座ファーストビル」を鑑定価格以上の126億円で売却し、売却益6億5500万円を2019年9月期に計上する予定。
【フロンティア不動産投資法人】
4月3日に、福岡市内に保有する「パピヨンプラザ」の建物一部を売却する。4月にテナントとの契約が満期になるため、売却先が建物を建替えした後に再取得する優先交渉権を保有する。
【日本リテールファンド投資法人】
4月10日に、2002年3月上場時から保有していた仙台市泉区所在の「イオン仙台中山」の売却を公表。2019年8月期に発生する売却益11億円のうち2億円強は内部留保する予定。
【日本賃貸住宅投資法人】
4月11日に、賃貸マンション10棟の売却を公表。売却額は45億円、2019年9月期の売却益は1億3,100万円としているが、分配金への影響が生じない程度に内部留保する予定。
【ラサールロジポート投資法人】
4月15日に、千葉県流山市に所在する「ロジポート流山A棟」の売却を公表。売却は2019年8月期と2020年2月期に分けて実施し、売却益は2019年8月期に3億9,300万円と、2020年2月期に5億9,600万円を計上する予定。
2. 売却がポートフォリオ強化に寄与
上記5銘柄の売却事例は、テナントの契約満期による必要性が生じたフロンティア不動産投資法人を除けば、ポートフォリオの収益性強化に寄与する事例になっている。特に日本リテールファンド投資法人(JRF)と日本賃貸住宅投資法人(JRH)の売却事例は、効果が大きいものと考えられる。
JRFは、都市型の商業施設を中心としたポートフォリオへの切替えを進めている。郊外型の商業施設はテナント解約リスクが高いことや、そのリスクに対して特に外国人投資家の懸念が強いためだ。売却対象となる物件はサブ資産と分類し、投資家の懸念を払拭する効果を狙っているものと考えられる。
JRHの売却は、今後の収益力低下懸念に対応したものと考えられる。前述の通り10物件での売却額は45億円であり、小規模な物件を売却したという面がある。更に新潟に保有する3物件を含め、東京都心23区以外に所在する物件を売却している。
今後の賃貸マンションの供給増加の可能性や人口の増加基調から考えれば、投資家は地方物件の収益力低下懸念を強く持っている。不動産売買市場が好調な時期でなければ、売却が難しいという面も併せて考慮すれば、このような売却は時節に適したものと考えられる。
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1 | 新宿三井ビルディング | 1,700億円 |
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2 | 飯田橋グラン・ブルーム | 1,389億円 |
3 | 六本木ヒルズ森タワー | 1,154億円 |
4 | 汐留ビルディング | 1,069億円 |
5 | 東京汐留ビルディング | 825億円 |
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