2021-07-09
1. 直近の価格動向
J-REIT価格は、株式市場とは異なり上昇基調が続いている。東証REIT指数は6月28日以降、7月1日を除き2,150ポイントを超えて推移している。7月2日から6日まで3営業日連続で年初来高値を更新し2,186ポイントまで上昇した。7月7日は反落したが、取引時間中の高値は7月6日の終値を超えており、上昇基調は維持されている状態だ。
価格上昇に伴い分配金利回りは低下している。7月7日のREIT平均分配金利回りは3.3%を切る水準まで低下しているが、これはリーマンショック後の東証REIT指数の高値となった2019年11月5日の3.38%を下回っている。利回り面から見れば、コロナ禍前を超える高値状態となっている。
2. 市場開設20周年を迎えるJ-REIT。これから始めるために知っておきたい4ポイント
2001年9月に日本ビルファンド投資法人(8951)とジャパンリアルエステイト投資法人(8952)が上場してから、2021年9月にはJ-REIT市場が創設されて20年となる。
節目となる9月を前に全4回にわたってJ-REITの20年を簡単に振り返るとともに、これからJ-REIT投資を始めたいと考えている方向けに基本的な事項について説明をしていくことにする。
J-REITは、投資商品としての側面を見れば大きなメリットは以下の2点となっている。
「メリット1」
利益の90%超を投資家に分配することで実質的に法人税などが課税されない
株式市場では企業判断で配当性向が大きく変化することがあるが、J-REITは配当性向90%超を強制された投資商品となっている。実際には大半の銘柄の配当性は100%になっているため、株式市場と比較すると利回りが高い投資商品となっている。
「メリット2」
利益の源泉は比較的収益安定性の高い不動産賃貸収入が主軸となっている
J-REITは制度上、実質的に不動産賃貸専業という縛りがかかっている。株式市場の不動産業の会社との大きな違いは、マンション分譲などの不動産販売業を行うことができない点だ。つまり収益面での安定性が株式市場の不動産会社と比較して高いという特徴がある。
J-REITでも物件売却を行うことはあるが、取得時には長期保有を前提としている。従って、貸借対照表(バランスシート)では販売用不動産を保有していない。
このような上記2点の特徴から、投資家から見たデメリットも生じている。
「デメリット1」
増資が多い投資商品
利益の内部留保ができないため、ポートフォリオを拡大するには投資家から資金を新たに調達する必要がある。従って増資が多い投資商品となっている。
例えば株式市場に上場する三井不動産(8801)は2014年に32年ぶりとなる増資を行っているが、三井不動産がスポンサーとなっている三井不動産ロジスティクスパーク投資法人(3471)は、2016年7月に上場してからすでに4回の増資を行っている。
増資によって投資口(株式に相当)が増えることになるため、需給悪化により価格が下落することが多い。
「デメリット2」
分配金の大幅な上昇は難しい投資商品
不動産賃貸専業であるため、株式市場の事業会社のように収益を大幅に拡大するような商品開発はできない。また特殊なノウハウが必要とされる業態ではないため、市場を独占するような合併も難しい。従って、将来における収益力拡大やその期待は一般事業会社と比較すれば当然劣後する投資商品となっている。
このようなメリットとデメリットから一般的にはJ-REITは「ミドルリスク・ミドルリターン」の投資商品と言われることが多い。しかし実際には価格が大幅に変動する局面もあり、短期的な投資では「ハイリスク・ミドルリターン」となることもある。
次号は、J-REIT20年間の分配金利回りと東証REIT指数を振り返るとともに、価格変動が大きくなる要因について記載する予定である。
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1 | 新宿三井ビルディング | 1,700億円 |
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2 | 飯田橋グラン・ブルーム | 1,389億円 |
3 | 六本木ヒルズ森タワー | 1,154億円 |
4 | 汐留ビルディング | 1,069億円 |
5 | 東京汐留ビルディング | 825億円 |
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