2023-02-13
1. 直近のJ-REIT価格動向
J-REIT価格は方向感のない動きとなっている。東証REIT指数は2月に入り1,850ポイントを挟んだ動きとなっており、12月中旬から続いていた下落基調からは転じているが、上昇への動きとはなっていない。
その一方、価格下落に伴い分配金利回りは加重平均で4%を超える状態まで高くなっている。利回りも価格と同様に2021年1月以来2年ぶりとなる高い水準であるが、東証REIT指数は異なる。
分配金利回りが4%となる指数値は、2021年1月時点では1,783ポイント、2023年1月は1,863ポイントであり、この2年で分配金が増加していることを示している。
中長期的に見れば、東証REIT指数が1,800ポイント以上となっている現状の価格水準は「高値」とも言える状態である。しかし分配金も成長し利回りが4%程度まで高くなっているため、価格面での「割高感」は解消されていると考えられる。
2. 時期要因として上値が重くなる理由
但し、J-REIT価格は上値が重い展開が続くものと考えられる。その理由としては以下の2点が挙げられる。
①増資が多い時期
J-REIT市場では1月/7月と2月/8月を決算期とする銘柄が半数程度を占める。企業が決算対策のために3月中に保有不動産を売却することが多くあり、1月決算期や2月決算期の銘柄は増資を行うことが多くなる。
2023年1月はJ-REIT価格が下落基調であったが、1月/7月決算期のうち4銘柄が増資を行っている。従ってJ-REIT価格が上昇基調にない中で、増資による需給悪化懸念が1月から3月中旬までは漂うことになり、価格上昇が難しい状態になっている。
②金融機関など機関投資家の決算期対策
金融機関などの機関投資家は3月期決算となっている場合が多く、決算対策として2月以降は利益確定のための売却を行う傾向がある。
例えば2022年3月は400億円を超える売越しを行い、2022年中でも最も大きい売越金額になった。
この時は、東証REIT指数が3月15日の1,858ポイントから月末には2,003ポイントまで大幅上昇した月であり、利益確定を行いやすい環境ではあったが、金融機関の売越しという需給悪化懸念がつきまとう時期であることを示している。
このように需給面で「重し」となる要因があることに加え、当面は金融政策変更などによるプラス材料は期待出来ない。2022年3月は前述の通りJ-REIT価格が大幅に上昇したが、これは米国の金融政策変更に対し、J-REITにはプラスに働くという投資家が多かったためだ。具体的には外国人投資家が639億円の買越しを行いJ-REIT上昇を牽引した。
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1 | 新宿三井ビルディング | 1,700億円 |
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2 | 飯田橋グラン・ブルーム | 1,389億円 |
3 | 六本木ヒルズ森タワー | 1,154億円 |
4 | 汐留ビルディング | 1,069億円 |
5 | 東京汐留ビルディング | 825億円 |
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