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「REITキーマンに聞く!」大和ハウス・アセットマネジメント株式会社 加藤 康敬 氏
「REITキーマンに聞く!」今回は、大和ハウス・アセットマネジメント株式会社 加藤 康敬 氏にJ-REIT市場とファンドの特徴をインタビュー形式でお話していただきました。
――財務戦略上、重視している所は?
将来の金利上昇に対する備えを行いつつ、長期間かつ低金利で返済時期の分散化を図りながら調達していくことはポイントだと思いますが、もう一つはやはり、LTV(総資産有利子負債比率)コントロールだと思っております。LTV の上限は60%を目途としていますが、当面のLTV を50%から55%程度の保守的な範囲内でコントロールをしていく方針です。
また、本投資法人は、合併によりNCR から96,919百万円(本合併時の有利子負債全体の77.2%)の再生債務を承継しましたが、平成27年1月30日付で実施した再生債務(借入金及び投資法人債)14,861百万円のリファイナンスによって、再生債務をすべて完済しました。
このリファイナンスにあたっては、平成27年1月22日付で、第2回無担保投資法人債(発行価額の総額30億円)及び第3回無担保投資法人債(発行価額の総額30億円)を発行する一方、平成27年1月30日付で、大和ハウスグループと親密な金融機関を中心に長期ローンによる資金調達を行い、調達手段も多様化しています。
本投資法人は、このリファイナンスによって借入期間を5.07 年から7.67 年に長期化する一方、負債コストを1.78%から0.64%(リファイナンス時点)に引き下げることができました。これは、1月に国債利回りが非常に下がっているときに投資法人債の発行がよいタイミングでできたということが大きく寄与しており、借入期間の長期化及び借入れコストの削減を同時に実現しています。
現在、固定 112,968百万円(79.3%)、長期 131,663百万円(92.4%)であり、金利変動リスクにも対応しているのかと思います。
但し、全て固定で長期がよいというわけではなく、短期、変動でリスクを限定的な範囲内で行うというのも財務戦略の中であると思います。返済期限を平準化、分散化することは大事だと思っております。
――御社の人的リソースの強みは?
合併前の2つの運用会社の社員と、大和ハウスグループの出向者を中心に構成されております。
様々なところでキャリアを積んでおり、AM、PM、BM、財務経理、コンプライアンス等それぞれの業務の知識、専門性が高く、視野の広い人が多くおります。また、大和ハウスからの出向者には、流動化した物件を扱う部署にて知識や経験を積んだ方や出向された方が即戦力で活躍しております。
――複数社出身の社員で構成されておりますと、プロであるが故にやり方、考え方が違ってやりにくいということはありましたか?
全然ありませんでした。みなさんそれぞれのやり方や立場を理解しておりますし、良好な関係で、各得意分野で活躍していると思います。また出向期間が2年という限定ではなく、4~5年と長くいる方もおります。
――御社におけるシステムの利用方法などについてお教えください
やはり141物件11,000超のテナント様を扱いますので、システムの構築などは非常に重要と思っております。プロが運用しますので、システムによる機能的な運用はしていく必要があります。保有物件数が多くなってきたこともあり、現在新しいシステムの導入に向け開発を進めております。