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「REITキーマンに聞く!」ヘルスケアアセットマネジメント株式会社 赤松 利起氏
今回は、ヘルスケアアセットマネジメント株式会社 赤松 利起氏に業界動向やファンドの特長に関してインタビュー形式でお話していただきました。
――病院不動産の組み込みについて(続き)
その他、本資産運用会社との間でスポンサーサポート契約を締結しているSPCの保有施設には、地元有力医療法人の運営する病院(400床)とスポンサーのシップヘルスケアのグループ会社で運営する介護付有料老人ホーム(198床)を合築した全国初の大規模医療福祉・商業複合施設等もあります。
いずれにせよ、今後病院の話は粛々と進めていきたいと思います。
リートにとって難しいのは、病院の経営者は土地や建物の売却を経営不振の象徴と考えてしまう方が多い点です。本投資法人がポートフォリオに組み込む物件としては、誰が見ても優良な病院から直接購入させていただく物件を病院不動産第1号としたいと思っています。これによって『ヘルスケアリートって使えるのでは』と病院経営者にまずは思ってほしいということです。
――ヘルスケア施設というアセットがリートに徐々に投資家からもひとつのセクターとして認知されてきたと思いますがいかがでしょうか?
5、6年前から大手企業各社がヘルスケアをキーワードとして取り上げているので、セクターという面での認識はされているかと思います。ただし実際やり遂げるというのは相当難しいと思います。
その点に関して投資家の方からは、期待や懸念も含めて色々なご意見をいただいています。
また、まだまだ医療・介護の業界の常識が伝えられていないと思っています。
それぞれの業界に常識があるように、例えば、リートの世界では、施設の収支によって賃料が上がったり下がったりします。一方、ヘルスケア施設ではそうではありません。
例えば有料老人ホームは、地主が長期で資金調達をして建て貸しを行い、オペレーターからの賃料を返済原資としますので、長期固定賃料になり、減賃は余程のことがない限り起こりません。この点はリートの世界ではまだ理解されていないので、トラックレコードを示して伝えていければと思っています。
――米国では、リートの中でもヘルスケアは大きな割合を占めていますが、日本では今後はその可能性がありますでしょうか。
米国の介護系リートは、事業会社を運営しています。それと同じことは日本では難しいと思います。
開発に関しては、スポンサーなどと協力して積極的に取り組んでいきますが、どういう施設にどれだけリートが絡んでいけるのかという点がポイントです。
ヘルスケア施設は、オフィスや住宅と違って、オペレーターと協調して開発するため、所謂テナントリスクはありません。不動産情報がしっかり集まり、優良オペレーターのニーズをしっかり把握していることが、私どもの陣営の強みです。
病院に関しては十分に取得できる余地があると思いますし、行政や大学病院等を巻き込んだ複合施設が出てくる可能性はあると思います。