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第1部「REITキーマンに聞く!」平和不動産アセットマネジメント株式会社 市川 隆也氏
今回は、平和不動産アセットマネジメント株式会社 市川 隆也氏に業界動向やファンドの特徴に関してインタビュー形式でお話していただきました。
略歴:市川 隆也(いちかわ たかや)氏
1976年 平和不動産株式会社入社、2010年 カナル投信株式会社(現平和不動産アセットマネジメント株式会社)出向・転籍、代表取締役社長(現任)。
第1部:業界動向・不動産市況について
――東京都におけるオフィス・レジデンスの市況についてお話をお願い致します。
オフィス市況についてまず話題に上がるのが、2018年から2020年にかけて予定されている東京23区における大規模オフィスビルの大量供給です。森ビルさんの調査によると、今後3年間で約400万㎡の供給が予定されています。過去のオフィスビルの大量供給は、1994年、2003年、2012年でしたが、その前後1年を含む3年間は、それぞれ概ね400万㎡前後のビル供給でした。今回の大量供給でも果たしてこれを消化できるだけの需要があるかという懸念が業界にあるのですが、企業の根強いオフィス需要を反映して2018年に竣工するビルについてはテナントの内定も順調に進んでいると聞いています。
また、供給されるビルには、既存ビルの建て替えもあり、滅失する面積もそれなりの規模となっていますので経済が堅調であれば大量供給も順次消化されていき、マーケットが大きく崩れる展開にはならないのではないでしょうか。
次に、レジデンスの市況ですが、日本の人口は少子化の影響もあり減少局面に入っています。 日本の総人口は2010年から2015年の間に約96万人減少しています。しかし、その一方で東京・埼玉・千葉・神奈川等の首都圏人口は約50万人増加しています。愛知県や福岡県などの地方都市においても人口流入が継続しており、大都市圏においては人口増加傾向が見られます。
また、世帯構成は大きく変わりつつあります。2015年の総世帯・約5,300万世帯のうち、1人あるいは夫婦2人で生活を営んでいる世帯などシングル・コンパクトタイプの住居を対象とする世帯数は約3,350万世帯でしたが、2025年には約3,520万世帯へと約170万世帯が増加すると見込まれています。
少子化・人口減少時代においても本投資法人が投資対象とする都市部のシングル・コンパクトタイプの需要は大きく拡大していく見込みとなっています。
――大規模オフィスビルの大量供給が中小型オフィスビルに与える影響についてはどのようにお考えでしょうか。
直接的な影響はないと考えています。
大規模オフィスビルを希望するテナントと中小型オフィスビルを希望するテナントとの間には賃料負担力や必要とするオフィス面積等で大きな乖離があり、かなり強固な棲み分け構造が存在しているからです。中小型オフィスビルに入居していたテナントが、すぐに大規模オフィスビルに吸い取られてしまう展開は考えにくいのではないでしょうか。
玉突き現象や2次・3次空室は大丈夫かというご質問を良く受けますが、2003年や2012年の大量供給時にも同様の懸念がありましたが、結果としてほとんど影響受けませんでした。