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第2部「REITキーマンに聞く!」平和不動産アセットマネジメント株式会社 市川 隆也氏
今回は、平和不動産アセットマネジメント株式会社 市川 隆也氏に業界動向やファンドの特徴に関してインタビュー形式でお話していただきました。
――内部成長についてはどのようにお考えでしょうか。
オフィス、レジデンスともに稼働率が高い状態が続き、賃料についても市況の好調さにも支えられて増額改定が続いている状態です。ただしこれに甘んじることなく、ダウンタイムを如何に抑えるか、諸費用に削減の余地はないか、引き続き目を光らせていきたいと思います。
オフィスについて見ると、好調なオフィス需要を背景として、第28期以降、賃料の増額改定に取り組んでまいりました。第28期の改定件数は4件だけでしたが、徐々に件数を拡大し、第29期は14件、第30期は22件、第31期は18件の成約ができています。改定幅も第31期は+6.4%と、第30期の+5.8%を上回っています。第32期以降についてはこの件数や改定率はいずれも増加していく見込みとなっていますので、さらに賃料改定による収入増加が期待できるものと考えています。
レジデンスの収益はオフィスに比べ安定していますが、それでも6期連続で増額改定に成功しています。 最近では礼金や更新料も多く取れるようになってきており、緩やかではあるものの、着実に伸びていくと期待しています。
第32期の予想分配金は第31期対比で+8円の2,025円とさせていただいています。今後、さらに賃料改定が進んでいけば、この伸び幅がさらに広がっていくものと考えています。
――IRについてはどのような取組をなされているのでしょうか。
市場・投資家とのコミュニケーションは非常に重視しています。 具体的な取組みとしては、機関投資家向けには、毎期決算発表後にセルサイドアナリスト、投信・投資顧問会社などの中央投資家、地銀・信金・信組など地方金融機関に対してご説明に伺って、コミュニケーションを図らせて頂いています。この他、従来は年1回であった海外IRを昨年から年2回に増やし、対象国も拡大しました。現時点ではアジア・オセアニアが中心となっていますが、将来的には北米や欧州にも広げていきたいと思います。
個人投資家向けの取組みとしては、決算期における説明会の開催のみならず、IRイベント・フェアや証券会社が実施する勉強会・本支店セミナーへの参加を行っています。IR活動を積極的に展開することでより多くの個人投資家の方に認知していただきたい、本投資法人の運用の良さを知っていただきたい、と考えています。
また、本インタビュー記事を個人投資家または機関投資家の方がご覧になり、本投資法人の理解を深めていただけましたら幸いです。
――現状の投資口の保有割合についてはどのような印象をお持ちでしょうか。
個人投資家による保有割合を増やしていきたいと考えています。そもそもJ-REITという商品設計自体が、少額から投資でき、不動産から生じる安定したキャッシュフローを得られる点で個人投資家の年金等を補完することに向いた金融商品です。 現在、安定的なキャッシュフローを求める個人投資家の資金の多くが投資信託に流れ、その投資信託を通じて間接的にJ-REITを保有する形になっています。ここから少しでもJ-REIT、特に本投資法人を直接保有し、応援してくれる個人投資家を増やしていきたいですね。個人の投資家さんとお話ししていますと、本投資法人でもNISA(少額投資非課税制度)を通じた投資が増えてきていることが分かります。J-REITは中長期的に収益性と安定性の双方を追求する金融商品ですので、中長期的な投資を促すNISAを活用する個人投資家の方には、投資の相性の良い商品ではないかと思います。
――個人投資家層の拡大、特に長期保有を志向する個人投資家の拡大は、J-REIT市場の安定的な成長にも非常に大きな意義があると思います。弊社もポータルサイトを通じて個人投資家にJ-REITの利点、魅力をさらに広めていきたいと考えています。
――本日は、大変お忙しい中ご対応いただき、ありがとうございました。
今回ご対応インタビューにご対応いただきました平和不動産アセットマネジメント株式会社の市川 隆也様です。