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特集!インフラ投資法人「タカラレーベン・インフラ投資法人」インタビュー 髙橋 衛氏
今回は、タカラアセットマネジメント株式会社 取締役投資運用部長 髙橋 衛氏にインフラファンド市場とファンドの特長に関してインタビュー形式でお話していただきました。
略歴:髙橋 衛(たかはし まもる)氏
第一地所株式会社(現 中央不動産株式会社)にて不動産鑑定評価業務に従事後、2001年4月より株式会社新生銀行において匿名組合出資等を通じた不動産投資業務を経て、2014年8月株式会社タカラレーベンに入社。その後、タカラアセットマネジメント株式会社の取締役投資運用部長に就任し、2016年6月にインフラファンド市場初銘柄としてタカラレーベン・インフラ投資法人を上場に導く。翌年の2017年6月には初の公募増資を実施した。
現在、タカラレーベン・インフラ投資法人では、18発電所、50MWを運用している。
1.インフラファンド市場について
――最初に、インフラファンドの収益に大きな影響を与える再生可能エネルギーの固定価格買取制度(以下、FIT制度)が導入された経緯をお聞かせください。
まず我が国では火力発電と原子力発電が電力供給の大宗を担ってきました。しかし、2011年3月の東日本大震災とそれに伴う福島第一原発の事故により、全国の原発が稼働中断に追い込まれ、残る火力発電に大きな負担がかかるようになりました。具体的な数字を挙げると、発電量において火力発電の占める割合が震災前の2010年で約60%だったものが、震災後の2013年には約90%に上昇します。さらに火力発電を支える石油・天然ガスは外国からの輸入に頼らざるを得ませんから、一次エネルギー自給率は2010年の約20%から2012年には約6%と3分の1以下の水準まで下落してしまいました。加えて火力発電は温室効果ガスの大量排出という問題も抱えています。
こうしたエネルギー安全保障上の問題、環境問題を考慮し、政府は火力発電を支える石油・天然ガスへの依存を下げ、温室効果ガスの排出量を削減するため、太陽光をはじめとした再生可能エネルギーによる発電量シェアを2030年には22~24%に拡大させるという長期方針を決定しました。
その方針を実現させるべく、再生可能エネルギーで発電された電力を所定の価格で買い取るよう電力事業者に義務付けたのが、2012年7月に発足したFIT制度です。
――では導入から5年が経過したFIT制度の現状と今後の見通しはいかがでしょうか。
再生可能エネルギーの普及・振興を目的として導入されたFIT制度に支えられ、太陽光発電に参入する事業者も増加し、発電量は2017年3月時点で約28GWまで拡大しました。こうした市場の定着と成長、技術革新による発電コストの低下等を踏まえ、固定買取価格は低下傾向にあります。
太陽光発電では発足当初に40円だった固定買取価格が2017年度には21円となりました(2MW以上の発電所については入札制に移行)。さらに本年4月に施行された新FIT法では、事業用太陽光発電に対して発電コストを2020年に1kWh当たり14円、2030年に7円という目標が掲げられました。
これを受け、再生可能エネルギー業界全体としては太陽光発電の一層のコスト削減が進むとともに、固定買取価格の低下ペースが比較的緩やかな風力、バイオマス等による他の発電設備への投資・開発が増えてくると予想しています。