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2015年02月10日

REITキーマンに聞く!「双日リートアドバイザーズ株式会社 渾大防 清 氏」

―――J-REIT 規制緩和に期待されるところは?

最近の規制緩和では、具体的には、自社株買い、ライツイシュー等が目玉として挙げられるかと思います。
ただ、実際に実施できるようにするには、規約を改正するなど少なくとも1年位の準備期間が必要ではないかと思います。ライツイシューも自社株買いもマーケットが悪くなった時に必要となるケースが多いので、比較的マーケットが好調な時期に規制緩和が公表されたのは実施のための準備期間を踏まえると結果的にタイミングとしてはよかったかと考えています。

自社株買い、ライツイシューは、2008年にマーケットが悪くなった時に大変ニーズがあったと記憶しています。多くのJ-REIT運用会社が金融庁に自社株買い、ライツイシュー等規制緩和について相談・お願いをしていたと思います。ようやく時間はかかりましたが、実現しました。

将来的なことを考えると、マーケットはずっと上昇することはなく、下落する局面に遭遇することも十分考えられます。また、今月にはJ-REITも50銘柄にもなり、リーマンショック前を超える銘柄数が上場J-REITとして認識されます。リーマンショックの際は、多くの銘柄間でその後合従連衡が起きました。将来的に再びマーケットが悪化した場合には、また同じような合従連衡が起きるかもしれませんが、今回の規制緩和が実施されたことにより、リーマンショック後のような大幅な銘柄間の入替は生じないのではないかと思っています。その意味でも、今回の規制緩和によるツールが備えられたことは良いことだと思います。

個人的には、さらなる規制緩和であれば、第一に、J-REITによるCB(転換社債)発行も解禁して欲しいと思っています。
マーケットが沈んでいる時、ライツイシュー、自社株買いに加え、CBの発行も可能になれば、もっとJ-REITのファイナンスに対して柔軟性が出てくると考えています。
これらのツールがJ-REITに備わっていなかったため、2008年から2010年にかけて、ファイナンスが出来ず、撤退せざるをえなくなったJ-REITが結構多かったのではないかと思っています。

第二に、海外オファリングに対する規制緩和です。
J-REIT開始当初からオファリングをする際には、その都度、半分以上の募集を国内オファリングにするという規制がありましたが、その後、累積で半分以上、と多少緩和されました。現在、マーケット環境がよくなったことで、オファリングしやすくなり、現在オファリングラッシュとも言われていますが、いずれ、J-REITマーケットがグローバルな投資家と対峙していくのであれば、この規制は完全撤廃して欲しいと思います。

J-REITの発行体から見て、それぞれの投資家ユニバースごとにその動意に差異が感じられることはよくあることと思っています。
その投資家ユニバースごとの動意を考え、J-REITの発行体からも投資家のユニバースを選択できてもいいと思います。
日本の景気が冷え込んでいた2008年、9年の頃は、国内機関投資家の動意は必ずしも強い状態ではありませんでした。その際、海外投資家をターゲットとしたオファリングであれば、可能だった、と考えていたJ-REIT発行体は、沢山いらしたように記憶しています。

オファリングを検討する際に、どのタイプのオファリングをするかについて、発行体側にもっと選択の自由があってもいいのではと思います。

J-REITマーケットが生まれたのは、日本の不動産をいかに流動化し、活用して、個人にも小口で持ってもらうという発想から始まっているので、確かに根本を忘れて、いつも全部海外オファリングで、というのが困るというのは一定の理解はできます。ただし、マーケット全体の時価総額が10兆円超になっていて、マーケット規模では世界で2、3番目を争っている状態であることを考えると、エクイティマーケットやキャピタルマーケットは、ボーダレスというのが大前提であり、国内オファリング、海外オファリング、グローバルオファリングのすべてを公平に選択できる仕組みは必要だと思います。

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