今回は、みずほリートマネジメント株式会社 橋本 幸治氏に業界動向やファンドの特徴に関してインタビュー形式でお話していただきました。
2016年に上場後初となる公募増資を行いましたが、それ以降、残念ながら投資口価格は低迷が続きました。この低迷状態を何とか打開しようという危機感があったことが各施策に共通した背景です。
まず基本方針として「分配金の持続的な成長」と「ポートフォリオ・財務構造に配慮した規律ある外部成長」を掲げ、市場との対話を踏まえ、具体的な課題として「ポートフォリオの質的向上」「財務基盤の安定化」「市場評価の改善」「スポンサーの支援姿勢の強調」を設定し、その解決策として様々な施策を実行しています。
その通りです。
「Jタワー」は、上場後に稼働率が安定しない時期もありましたが、カフェテリアの設置などのリニューアルや物件特性を捉えたリーシング等により高稼働を実現しました。一方、稼働は回復したものの賃料単価が下がり、利回りが低下していたため、いかにポートフォリオの質を向上させていくかを課題としているなか、不動産市況が良好な状態で物件売却の好機であったこと、またスポンサーサポートにより優先交渉権を有する物件を確保できており、それらを取得することでポートフォリオの収支を一定程度維持できる状態にあったこと等もあり、売却を決断することができました。
この売却によってポートフォリオ利回りが向上しただけでなく、ポートフォリオに占める物件毎の投資比率の低下やテナント集中度緩和も同時に進められたことは良かったと考えています。
先程我々が投資対象としているミドルサイズオフィスビルは、供給量が限定的であるとお話しました。これは稼働や賃料水準の維持という面ではプラスなのですが、一方で供給が限定的であるが故に取得する物件の築年数が長期化し、機能面で新築ビルに比べて見劣りがちになってしまうという面もあります。
そこで我々は、各保有物件毎の質的向上という視点で、保有物件毎の計画的なバリューアップ工事やリニューアルによる機能性向上に努めています。
「Jタワー」を手放したことで、新たに福岡市の大博多ビルが当リートのトップアセットになりました。今後、博多のオフィスエリアにおける立地の優位性や視認性の良さ、強いテナント需要等を活かして収益性を高めていくことは勿論ですが、あわせて外部成長を進めて資産規模が1,000億円を超えてくれば東京圏での旗艦物件取得も狙っていきたいですね。
取引金融機関の皆様のご理解・ご協力をいただきながら、売却資金を活用し、88億円の借入金返済と約160億円のリファイナンス(期限前返済・借入)を実施しました。 この結果、50%超あったLTVが45%台まで低下すると同時に、借入金利も平均で0.22%低下、固定金利比率は79%から90%に上昇し、財務状況が大きく改善しました。
また、将来的な分配金安定化を目的として今後1億円の内部留保も実施する予定です。
スポンサーの支援姿勢をより明確にする取組みの一環です。
まず昨年の投資法人の名称変更ですが、投資法人・運用会社・スポンサーが一体となって投資主価値の最大化を目指すこと、競争が激化するリート市場において「独自性ある」「唯一の」(Only One)存在になりたいとの想いを反映して「Oneリート投資法人」と名称を変更しました。
次に運用会社ですが、「みずほ」の冠をつけて「みずほリートマネジメント」と社名変更することで、スポンサーとの連携をより強化・加速する狙いを強調しています。物件情報のソーシング、資金調達、ブリッジファンドやウェアハウジングを活用した積極的な物件取得等、これまで以上にスポンサーであるみずほ信託銀行や、みずほフィナンシャルグループとの協力を強化し、当リートの成長、投資家の認知度向上につなげたいと考えています。
お話しした一連の施策等をご評価いただいたものと認識しています。
IR活動を行っていても、内外の機関投資家、個人投資家からの反応は総じて良好だと感じています。特に従来は「抱えている課題をどう解決するのか」と「現在」に焦点を合わせた質問が多かったのですが、最近は「これからの成長戦略をどう考えているか」といった「未来」に焦点を合わせた質問が増えており、非常に前向きな変化だと考えています。
今後も丁寧に投資家、市場の声に耳を傾け、リートの価値向上に努めていきたいと考えています。
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1 | 新宿三井ビルディング | 1,700億円 |
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2 | 飯田橋グラン・ブルーム | 1,389億円 |
3 | 六本木ヒルズ森タワー | 1,154億円 |
4 | 汐留ビルディング | 1,069億円 |
5 | 東京汐留ビルディング | 825億円 |
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