<ハイライト>
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<調査目的及び手法>
J-REIT(不動産投資信託)は、市場創設からちょうど20年が経過しました。2021年11月現在、61銘柄が上場、市場全体の時価総額は17兆円になります。
不動産・金融・商社・電鉄・住宅・デベロッパー・ホテル・小売・投資ファンド等、多種多様の企業が参入し、不動産を保有・運用する主体として不動産市場を牽引する存在に成長しました。 投資対象も、オフィスビル・賃貸住宅・商業施設に加え、社会経済の変化とともに、物流施設・ホテル・ヘルスケア施設と、様々な用途の不動産に拡大しています。
REITが着実な運用実績を積み重ねた結果、不動産賃貸事業に特化し安定した収益を裏付けに高い分配金利回りを持つ金融資産として広く認知されてきました。
しかし2020年新型コロナウイルスの感染拡大によって、REITの投資環境も大きく変わりました。
このように先の見通しが難しい市場環境のなか、J-REITポータルサイト「JAPAN-REIT.COM」は、個人投資家の皆様がウィズコロナ・アフターコロナ時代においてJ-REITの商品性及び投資環境の変化をどう捉えているのか、その実態把握と今後の市場動向予測、またJ-REIT市場の更なる拡大を目的とし、個人投資家を対象にアンケートを実施しました。
<アンケート結果>
1. 回答者の属性 (n=422)
回答者の属性は、例年同様に「40代~70代の男性」が中心であるが、今回はなかでも60代の増加が顕著で、全体の約3分の1を占める。また昨年と比較すると、30代以下が減少する一方、60代以上が増加する等、平均年齢が高くなっている。女性の割合は2%と昨年より更に低下した。
<性別> |
<年齢> |
<J-REIT個別銘柄の投資経験> |
2. J-REIT投資を始めた理由は?(n=投資経験あり408、延回答数2,313)
REIT投資を始めた理由は、昨年同様に回答者の85%が「分配金利回りの高さ」を挙げる。次に「分配金利回りの安定」がランクしており、個人投資家が分配金利回りの高さを魅力と認識し、インカムゲインを目的として投資していることが分かる。また例年同様「少額で不動産投資ができる」「換金性・流動性が高い」も高く支持されている。「REITの仕組みが良い」がランクアップしている点から、分配金を生み出すREITの仕組みに対する理解が深まる一方、「投資口価格の上昇期待」や「投資口価格の安定」のランクが昨年より低下している点から、キャピタルゲインを期待する割合が低下している。
3. 銘柄選択の基準は?重要視することは?(n=投資経験あり408、延回答数1,861)
昨年同様に、回答者の89%が銘柄を選択する上で「分配金利回り」を判断基準としており、分配金利回りがREIT投資の指標として定着していることが分かる。次に「スポンサー」「運用資産の用途」が判断基準となっている。「投資口価格の安定」が昨年よりランクアップしており、従来よりも重視される傾向が見られる。
一方、「分配金の安定」が昨年より大きくランクダウンした。コロナ禍やオフィス市況悪化による分配金減少リスクを反映し、分配金の安定期待が弱まっていると見られる。実績を見れば増配となっている銘柄や物件売却益や内部留保を活用し分配金の安定を優先している銘柄も多い点から、投資家への理解の浸透が課題とも考えられる。
4. 現在のJ-REIT投資額は?金融資産全体に占める割合は?(n=投資経験あり408)
REIT投資額の分布は前回と大きな違いはなく「100万~500万円」の割合が22%と最も多いが、「500万~1,000万円」の割合も21%と拮抗しており、REIT投資額はより分散する傾向にある。
一方、金融資産全体に占める割合は「20%未満」とする層が昨年より6%増加し46%を占める一方、「40~60%」の層が7%低下している点から、金融資産全体の中でREITが占める割合は昨年より低下傾向にある。
<現在のJ-REIT投資額> |
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5. J-REIT投資運用期間(予定含め)は?(n=投資経験あり408)
REITの運用期間は、例年同様に「5年以上」とする層が7割を占め、REITを長期投資の対象と見ている。但し、「3年~5年」が13%と昨年より4%低下する一方、「1年~3年」の割合が10%と昨年より5%増加している点から、大半が長期投資と捉えながらも、1~3年の中期投資と考える層が増加していることが分かる。過去の調査から投資口価格の変動と投資期間は相関性が見られる点から、投資家は中期的に投資口価格の変動リスクを注視していると考えられる。
6. 今後J-REIT投資額を金融資産全体の何%にしたい?(n=投資経験あり408)
REIT投資額を金融資産の「20~40%」にしたいとする層が43%と昨年同様最も高い。設問4の現在の投資額と比較すると、「20%未満」にしたい層が減少する一方、「20~40%」「40~60%」がそれぞれ大きく増加している点から、現在よりもREIT投資比率を高めたい意向が分かる。
一方、昨年と比較すると、「20%未満」にしたい割合はほぼ変わらず、「20~40%」にしたい割合が7%増加している点から、一定程度をREIT投資に振り向けたい意向を持つ。一方「40~60%」「60~80%」「80%以上」の投資比率を高くしたいと考える層がいずれも昨年より減少している点から、REIT投資割合の高い層が投資を抑制したいとする意向が見られる。
7. 今後投資したい用途は?(n=投資経験あり408、延回答数1,197)
今後投資したい用途として、「物流施設」が最も多く、次に「住宅」「インフラ施設」と続く。コロナ禍の影響を受けにくく、需給環境が堅調な用途が上位にランクする。物流系、住宅系ともに分配金利回りが低い銘柄が多く、設問3の銘柄選択基準となっている分配金利回りの高さに合致しない状態になっているため、REITの投資割合を高めようとしても実現できない要因となっている可能性も考えられる。
8. 売却しよう(もしくは売却した)とする要因は?(n=投資経験あり408、回答数=1,021)
REITの売却要因は、例年同様に「売却益の確定」が他の選択肢を大きく上回った。分配金利回りを投資指標としながらも、投資口価格が上昇すれば売却してキャピタルゲインを確定する動きが窺える。
一方、「投資口価格の下落」が昨年よりランクアップしている点から、投資口価格の下落リスクへの反応が大きくなっていると考えられ、昨今の投資口市況の不透明感を反映しているとみられる。
9. J-REIT個別銘柄に投資しない理由は?(n=投資経験なし14)
REIT個別銘柄の投資未経験者が投資しない理由として、「REITの投資信託やETFに投資する」「資金不足」に加え、「投資口価格の下落リスク」が上位にランクした。設問8の結果と同様に、投資口下落リスクに対する懸念が強まっているとみられる。
10. 今後J-REITに投資したい?(n=投資経験なし14)
REIT投資未経験者のうち半数が「REIT投資信託やETFに投資したい」を挙げ、「REIT個別銘柄に投資したい」を大きく上回り、昨年の調査結果から逆転する結果となった。投資未経験者にとって個別銘柄の選択が難しい点が挙げられよう。
一方、「今後もREIT投資はしない」とする割合が昨年の17%から大きく減少した点から、コロナ禍による不透明感が後退したと考えられる。
11. J-REIT投資(または追加投資)するために望むことは?(n=422、延回答数1,500)
REIT投資をする上で最も期待することは「1口当たり分配金の成長」と例年同様の結果となり、インカムゲイン投資対象とするREITに常に求められていると言えよう。また昨年より「投資口価格の上昇」がランクアップしたのに対し「財務の安定性」が大きくランクダウンしたことで、設問10と同様にコロナ禍に伴う投資家の過度な懸念は後退したと考えられる。
12. 皆様からのご意見(抜粋)
本アンケートに関するお問い合わせ: JAPAN-REIT.COM運営事務局(アイビー総研株式会社 03-5405-9525 info@ibrc.jp)
1 | 新宿三井ビルディング | 1,700億円 |
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2 | 飯田橋グラン・ブルーム | 1,389億円 |
3 | 六本木ヒルズ森タワー | 1,154億円 |
4 | 汐留ビルディング | 1,069億円 |
5 | 東京汐留ビルディング | 825億円 |
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