今回は、GLPジャパン・アドバイザーズ株式会社 鳥越 豪郎 氏にJ-REIT市場と ファンドの特徴をインタビュー形式でお話していただきました。 (※このインタビューは2015年6月に行ったものです。)
略歴:鳥越 豪郎(とりごえ たけろう)氏
1993年東急不動産株式会社入社、2006年株式会社プロロジスに入社し、2009年にGLプロパティーズ株式会社(現:グローバル・ロジスティック・プロパティーズ株式会社(以降、GLP))入社、2011年GLPジャパン・アドバイザーズ株式会社(以降、GLP JA)出向、投資運用本部長経て、現在執行役員 CIO。
GLP投資法人は、2012年の年末に上場しました。その頃にアベノミクスが始動し、2013年には投資口価格が力強く上がり始め、増資やJ-REITの新規上場も相次ぎました。2014年の後半くらいから、少し潮目が変わってきた感じがします。J-REITのNAVに対する投資口価格の倍率が少し高めかなという声が聞こえ始めた一方で、2015年に入っても継続して多くの増資案件が発表されました。J-REIT市場の成長という側面で見れば、これは良いことだと思いますが、一方では、需給の緩和が嫌忌されて、足元の投資口価格が調整されていると理解しております。これがここ1年の市場での一番の変更点ではないでしょうか。
J-REIT全体の平均分配金利回り(以降、利回り)は3%台であり、他の金融商品に比べてまだまだ高く、依然として魅力的な水準であると思います。一般的に企業の株が上がっている時は、どうしてもJ-REITは相対的に上がりにくいという傾向もあると言われており、そういったことも一部重なっているのではと思っています。
日本銀行(以降、日銀)もそろそろ買入れ枠が少なくなってきているとの声も聞かれますが、まだしばらく買いの状況が続くかと思います。
まずは、平成27年度の税制改正で、税会不一致問題の解消※を図るために税制改正がありました。これはJ-REIT業界にとっては大きなイベントであり、たくさんの方々のご尽力のお蔭で実現することができたものと理解しております。これには大変感謝しております。
※税会不一致問題の解消: 投資法人において会計上の利益を超える分配金の一部を税法上も配当として扱うことが認められ、損金算入が可能となる(平成27年度税制改正)
これまでは、税会不一致の問題により、J-REIT各社も断念していた施策があると思います。そこに対して、柔軟性が格段に向上したというか、制度上で縛られてもったいなかったところが、少なくなったのかなと思います。
今後期待するものとして、まず1つ目は、売却益等の留保ができるようになることが期待されます。基本的にREITは利益の90%超を配当しなければいけないのですが、売却益等が出た場合に留保ができる制度が期待されます。リーマンショック後の2009、2010年の時限的な制度として同様な特例が認められていましたが、その頃に組成されていなかったJ-REITはその制度を利用することができませんので、そこに差が出てしまっていると思います。
やはり、売却益等が出た場合は留保ができるような仕組みがあると、運営のフレキシビリティを上げることができるのではないかと思います。
また、なかなか難しいかとは思いますが、UPREIT※のような制度があると良いと思います。
物件拠出者が一定期間、売却益を繰り延べることができる制度があれば、おそらくJ-REITに入る物件がもっと増えるのではないかと思います。
※UPREIT(Umbrella Partnership REIT): 米国等で導入されている、資産の売却に伴う譲渡益に対する課税の繰り延べを可能にする仕組み。
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1 | 新宿三井ビルディング | 1,700億円 |
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2 | 飯田橋グラン・ブルーム | 1,389億円 |
3 | 六本木ヒルズ森タワー | 1,154億円 |
4 | 汐留ビルディング | 1,069億円 |
5 | 東京汐留ビルディング | 825億円 |
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